社内報を「社外」で活用する
社内報はインナーコミュニケーションツール。自社の社員を中心に、社員のご家族やOB・OBの方に読んでもらうために制作されます。しかし最近は、広報ツールとして社外にも活用するケースが増えていることをご存知でしょうか。今回は、社外での活用事例やそのメリット及び注意事項、社内・社外を問わない新しいスタイルの「オープン社内報」などについてお話しします。
社内報の社外向け活用事例
<お客様への配布>
社内報をお客様に配布することで、オープンで透明性の高い企業姿勢を示すことができます。
また仕事への姿勢や新たな取組への積極的なチャレンジ、実際に働く社員の真摯な姿を見せることも、貴社のイメージ向上にプラスに働くことでしょう。
<求職者への配布>
社内報に掲載される情報は会社案内よりもリアルです。働いている社員の本音や業務の具体的な様子が掲載されているからです。
社風、社員の人柄、仕事の実情など、求職者が知りたい企業の素顔を伝えることができる社内報を、リクルートツールとして活用する企業も増えています。
<パートナー企業への配布>
多くの企業は協力会社とパートナーシップを結び協同しながら事業を行っています。パートナーに自社の社風や企業姿勢、社員の人柄を知ってもらうことは、信頼関係構築のためにも重要です。
社内報を配布することで、パートナー企業と情報やモチベーションを共有し、絆を深めることができます。
社内報を社外で活用するメリットと注意点
<メリット>
多くの企業は自社の広報ツールとして、「会社案内」を制作しています。けれど会社案内は企業の全体像の紹介にとどまることが多く、各部門の詳細、仕事の実際、働く社員のリアルな様子や素顔まで掲載することができません。
社内報は、活用事例で紹介したように、お客様・求職者・パートナー企業などに、貴社の業務や社員の姿を具体的に詳しく紹介できる媒体です。広報ツールとして活用することにより、会社案内では伝えきれないことを補完してくれます。
また、社内報をお客様向けの広報誌やリクルート用パンフレットの代わりに活用すれば、広報ツールやリクルートツールの制作コスト削減にもつながります。
<注意点>
配布先を広げることで、貴社のイメージアップや取引先との関係強化にもつなげることができる社内報。ただしあくまでも社内向けに制作されたツールであるため、
・企業戦略や決算情報など、外部に公開できない情報
・個人情報が特定されるような記事
・商品やサービスなどのうち知的財産に関わるような情報
こういった情報が掲載されている場合、外部に配布できるかどうか、慎重な見極めが必要です。
近年注目される「オープン社内報」とは
オープン社内報とは、本来は社内だけに発信する情報を社外にも公開し、誰でも見ていただけるようにしたツールです。
社内報というインナー向けツールの情報を「あえて」広く公開することにより、透明性の高い企業であることをステークホルダーに伝えることができます。
また、社風や社員の人柄、業務の実際などが公開されることで、とりわけお客様に親しみを感じていただけます。つまり従業員同士だけではなく、お客様とのコミュニケーション促進にも役立つのです。
オープン社内報は、あらかじめすべてのステークホルダーへの公開を前提として制作されます。したがって社外に出せない機密情報や個人情報などを、はじめから除外することができるのもメリットです。
オープン社内報は、幅広い層へ届くよう、オウンドメディアとしてウェブで公開されることが多いのですが、紙媒体で制作している企業もあります。
<オープン社内報の事例>
株式会社ユー・エス・イー
同社はクラウド事業やシステム運用事業を通してお客様の求めるソリューションを提供するITサービス企業です。オープン社内報のプラットフォームとして「note」(テキストや画像などを投稿できるメディアプラットフォーム)を活用。社員や仕事の紹介、イベントレポートなどを発信しています。
オープン社内報
https://note.com/use
企業サイト
https://www.use-ebisu.co.jp/
株式会社Fusic(フュージック)
Webシステムやスマートフォンアプリ開発などを行う同社。ホームページによると、オープン社内報はクローズドに運用していた社内報やブログの個性的なテキストを社外の皆さまにもおすそわけしたい、という思いからスタートしたとのこと。ユニークで読み応えのある記事が揃っています。
オープン社内報
https://fusic-no.notion.site/Fusic-93199b6058844e3da40487e2d2622b74
企業サイト
https://fusic.co.jp/
株式会社アシスト
同社ホームページによると、オープン社内報発刊の目的はコロナ禍の中、社員同士の顔が見える機会を作り、グループの一体感を醸成すること。また社員のご家族やお客様に社風や考え方などを伝え、アシストを身近に感じていただくことだそうです。企業サイトでPDF版が公開されています。
オープン社内報
https://www.ashisuto.co.jp/corporate/media/in-house_magazine/
企業サイト
https://www.ashisuto.co.jp/
社内報の二次活用で社外向けツールを制作
「今、発行している社内報を社外にも活用したい。けれど社外秘の情報や個人情報は社外に公開したくない。かといってオープン社内報にリニューアルすると、掲載できる情報に制約が生まれる」
そんなジレンマを解決するために、社内報から公開したいコンテンツだけを抜き出して新たな媒体を作ったり、別の冊子の記事に転用するのも有益な方法です。
例えばリクルート向けに、社内報から社員インタビューや職場紹介のコーナーだけを抜き出しリクルートツールを作る。
あるいは、制作中のリクルートツールのうち、社員インタビューや職場紹介コーナーは、社内報のコンテンツを二次活用する。
一からコンテンツを作成しなくてすむため、「インタビューや原稿作成、撮影の手間を割愛できる」「制作予算を抑えることができる」などのメリットが生じます。