社内報は、貴社の歴史を残すツール
社内報発行の目的をひとことでいえばインナー・ブランディング。
でも実は、もう一つ隠れた役割があるのです。
それは、自社の歴史を後々まで残すこと。
今回は、歴史の記録メディとしての社内報に
スポットを当ててみたいと思います。
意外に残していない自社の歴史
当社は社内報の他にも様々な広報ツールを制作しています。例えば社史もそのひとつ。
「創業50周年を記念して、当社の歴史を振り返る社史を制作したい」
そんなお問い合わせをいただくことも少なくありません。
ところが打ち合わせさせていただくと
「会社の歴史が分かるような資料が無いんですよ」
とお答えになるお客様がとても多いのです。
そんな場合は「会社案内・決算報告書・各種議事録・業界紙などを残していませんか?」とお尋ねします。そして保存しておられる場合は資料として活用させていただきます。また、足りない部分は社員の方やOB・OGの方にインタビューをお願いし、過去の出来事を掘り起こすことで肉付けします。
とはいえそれらの資料も会社の歴史を体系的に残す目的で作成されているわけではありません。またインタビューの場合は出来事の年月日が正しいかどうか、裏付ける資料がなければ確認することができません。
企業の記録メディアとしての社内報
創業者の想い、事業や商品の変遷、会社にとってエポックとなったできごと。社史を作る・作らないは別にしても、会社の歴史を残し、社員全員で共有することは、自社をより深く理解することにつながります。
また経営陣が原点に立ち返ったり、今後の方針を決定する際にも、過去の歩みを参照することは、とても大事なことではないでしょうか。
「会社の歴史が分かるような資料が無い」とお答えになるお客様が多いことからも分かるように、自社の歩みを残すことを目的に記録を取っている企業はまれです。
しかし「社内報」を発行していればどうでしょうか。歴史を残すという意識はなくとも、自企業の主な出来事や経営陣の考えなどが、自動的に残っていきます。つまり社内報を継続発行することは、貴社の歴史を記録することでもあるのです。
企業の歴史も意識した社内報の作り方
以前にもコラムで紹介しましたが、社内報には大きく分けて次の4つの機能があります。
(1)インフォメーション機能
経営方針や社内情報など、社員にぜひ知ってもらいたい事柄を伝え、情報の共有化を図る
(2)コミュニケーション機能
社員や部署をさまざまな角度から紹介することで、相互理解を深め、一体感を生む
(3)モチベーション機能
仕事のやりがいや自社の社会的価値を啓発することで、社員のやる気を高める
(4)エデュケーション 機能
業務に必要な知識を発信することで、社員教育やスキルの向上を図る
これらはどれもインナーブランディング(企業が社内に向けて行うブランディング)に通じています。社内報という媒体を通して企業の価値感や理念、ビジョン、やりがいなどを共有し、エンゲージメント(社員の企業に対する信頼感)を高め、パフォーマンス向上につなげることが目的です。
「はじめて社内報の担当になった方へ」
この中で、会社の歴史の記録に役立つのは、
「(1)インフォメーション機能」の項目です。これらが掲載されているだけでも、社内報は企業の歴史をある程度残す媒体となるでしょう。もしも会社の歴史を残すことに重きを置くならば、このコーナーを充実させることが有効です。
歴史の記録のために必要な記事とは
会社の歴史のを残すためには、どんな記事が必要でしょうか。
具体的にピックアップしてみました。
■トップメッセージ
社長や経営陣からのメセージコーナーです。年頭や新年度などに経営計画などをまじえて発信されることが多く、会社の方針の変遷を知るのに役立ちます。
■経営会議ダイジェスト
経営陣による会議の概要やポイントを伝えるコーナーです。新年度や上半期、下半期などの節目に開催されることが多く、業績発表、決算報告、前年度の振り返りや今後の方針など、経営に関する変遷を知るのに役立ちます。
■ニュースコーナー
社内報発行のタイミングで、会社全体のトピックや部署単位のトピックを伝えるコーナーです。企業で起きた主要な出来事の記録として役立ちます。
■新入社員紹介
新入社員を年度ごとに紹介するコーナーです。採用計画や採用人数の変遷を知るのに役立ちます。
■部署紹介
部署ごとの業務内容や所属員を紹介するコーナーです。企業の業務内容の変遷を知るのに役立ちます。
■人事・組織情報
要職者の就任、退任や組織変更などを伝えるコーナーです。人事・組織の変遷を知るのに役立ちます。
社内報を発行すること。それは自ずと自社の歴史を残すことに繋がります。そのためにも社内報は、継続して発行することが大切なのです。